125ccでも制限付きで原付一種に

最高出力を制限した新原付に

全国の二輪保有数に対して、4割以上が原付というデータもあるほど、原付は全国的に移動手段として活用されている乗り物です。
しかし、2025年の排気ガス規制強化を控え、排気量50cc未満の従来の原付一種が存続の危機を迎えています。
後続モデルが開発・販売されなくなりつつあるのです。

基準を満たすために開発を進めるものの、実現が厳しい模様です。
さらに50cc原付の市場も国内がほとんどで、開発に対するリターンも小さいのです。
このままでは原付一種が将来的になくなってしまう可能性が出てきているので、原付の制度の枠組みが見直される見通しです。

新しい枠組みでは、50ccの排気量を超える自動二輪車であっても、その排気量を制限すれば原付免許のみで運転できる自動二輪車とみなされます。
警察庁はこの件について、2023年に有識者会議を実施しました。
中心となった議題は、125ccクラスのバイクを50ccクラスのバイクと同等の走行性能・安全性能が見込めるかについてです。
試乗会などにより、125cc以下のバイクは制限が付されるものの、原付免許で運転が可能だと結論付けられました。

125cc以下のバイクが新基準の原付をみなされる条件は、いくつかあります。
要点としては、排気量を明確に区分できる方法で制限することが必須だということです。
外見を見分ける方法としては、ナンバープレートは現行の原付と同様にし、小型二輪と区別するなどの方法が検討されています。

新原付の課題は?

制度の見直しにより、原付での生活は継続できそうなのは一安心ですが、新制度にはいくつか課題もあります。
ハード面の課題では、車体価格が高くなる可能性があることです。
新基準の原付は、本来125cc以下までの出力ができるエンジンを搭載しています。
したがって、従来の原付と比較して車体価格が上昇するのは避けられないかもしれません。

また、車体に対して出力制限を解除できるような細工を施せないよう、メーカーの対応が必要となります。
ユーザーが不正改造できないように特殊な構造にするなど、対策が必要となってきます。
この辺りはメーカーや政府がどのような対応をしていくのか、今後の動向をよく確認しておきたいです。

制度面の課題では、今回の規制見直しを勘違いする人が出てくる可能性があることです。
「125cc以下であれば原付免許で乗れる」といった風に、「制限付き」の意味について正しい認識を広げていく必要があるでしょう。
バイクメーカーは販売時に125cc以下のバイクのうち、新原付の基準を満たしていることを表記するなどの対応を予定しているようです。

また交、通ルールについては従来の原付に適用されるものが継続される予定です。
したがって、二段階右折や最高速度時速30kmといった原付特有の制限が続きます。